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低線量肺がんCT検診をご希望される方へ
肺がんの現状について
現在、日本人の死因の第1位は悪性新生物(広義のがん)ですが、上の表に記載されていますように、肺がんによる死亡数が男女計で最も多く、年間死亡数は2017年で74,120人と増加傾向です。この状況を改善するために肺がんを早期に発見する努力がなされています。
「がん」には早期発見、早期治療が最も効果的ですが、現在、肺がん検診として行われている「胸部レントゲン検査」、または「胸部レントゲン検査+喀痰細胞診の組み合わせ」では、早期の小さながんまで発見するのはなかなか難しく、肺がんは進行がんで発見されることが多いのが現状です。そこで当院では、より小さな病変を早期に検出することができる低線量胸部CTによる肺がん検診をお勧めしております。
低線量肺がんCT検診の成績
日本では以前から低線量CT検査による肺がん検診が個別診断として行われ、最近では一般住民健診でも応用されつつあります。
胸部レントゲン検査と比較して、CT 検診による肺がん発見率は約 10 倍程度高く、しかも発見された肺がんは早期の比率が高く、その治療成績も良好であること、また予後良好とされるいわゆる「すりガラス陰影」を呈する高分化型腺がんの比率が高いことなどが明らかにされています。
アメリカでも米国国立癌研究所から「ヘビースモーカーに対する低線量CT検査による肺がん検診では死亡率が明らかに低下した」と報告されました。
低線量とは?
低線量とは、従来のCT検査と比べて「更に被ばく量を減らした」いう意味です。
一般に低線量CT撮影では被ばくの低減が図れますが、その分画質は劣化します。しかし、肺がん検診のCT撮影では、通常のCT撮影より格段に低い線量でも十分診断可能という研究結果が出されています。従いまして、低線量肺がんCT検診では、被ばく量を最大限に少なくして検査を行うことができます。
低線量肺がんCT検診のメリット・デメリット
メリット
- 従来の「胸部レントゲン検査」、または「胸部レントゲン検査+喀痰細胞診の組み合わせ」による肺がん検診に比べ、早期発見率が高いとされています。
- 胸部CT検査では、肺がんだけでなく、慢性疾患や感染症(肺気腫、肺炎、気管支拡張症、肺結核、抗酸菌症など)や、肺以外の病気(心臓や血管の動脈硬化像、乳がんなど)なども同時に発見される利点があります。
- 食事制限の必要もなく、検査時間は5分ほどで、痛みもありません。
デメリット
- 低線量ではありますが、若干の被ばくを伴います。しかし、この低い被ばく量では将来的にがんを発症する確率は非常に低いと考えられます。
- 見つからなくてもよい良性疾患までもが発見されますが、良性・悪性の鑑別のための精密検査や経過観察も追加で必要になってくる場合があります。
低線量肺がんCT検診の対象
- 40歳以上で、喫煙されている方
- 40歳以上で、禁煙後10年未満の方
- 肺がんになった血縁者がおられる方
- 受動喫煙が気になる方
実際の症例
低線量肺がんCT検診で撮影した画像を示します。
赤い丸で囲われた結節が、1cmほどの初期の肺腺がんです。
胸部レントゲン検査では、肝臓と重なっていますので、発見されにくい部位です。
CT検査は断面像で見るので、このような部位の病気も見つけやすいです。